人文社会学部現代社会学科?社会調査実習報告書『藤前干潟の維持と管理をめぐる現状と課題―ラムサール条約登録以降の動向に着目して―』の刊行
活動の概要 | 人文社会学部現代社会学科では、毎年、社会調査実習という授業を開講しています。各担当教員の指導のもと、中京圏の様々な社会問題の現状と課題について、主にフィールドワークやインタビュー調査を中心とした社会調査を行っています。その中間成果については、東海社会学会インターカレッジ発表会で報告をしており、調査経験とプレゼンテーションに力を入れた教育活動を行っています。調査の成果について、報告書『藤前干潟の維持と管理をめぐる現状と課題―ラムサール条約登録以降の動向に着目して―』を刊行しました。 【社会調査実習の内容】 2024年度の馬渡班は、名古屋港に位置する、ラムサール条約登録湿地である藤前干潟の維持と管理について、調査を進めました。藤前干潟は、豊富かつ多様な生き物が生息し、国内有数の渡り鳥の飛来地として知られています。 調査においては、ラムサール条約湿地藤前干潟?稲永ビジターセンターや藤前干潟活動センターへの訪問、およびセンターの運営を委託されているNPO法人?藤前干潟を守る会(以下、守る会)への複数回のインタビュー、関連する文献や新聞記事の整理を行いました。 1984年に干潟をごみ最終処分場とする計画が浮上し、1999年に名古屋市が埋め立て計画を断念するまで、干潟を守るための様々な活動が展開されたことはよく知られています。しかし、2002年のラムサール条約湿地登録以降の動向については、十分に整理されておらず、さらに近年の藤前干潟では、ごみのポイ捨てやマイクロプラスチック問題、釣りごみ問題も発生しています。実習では、特に守る会と行政の連携のあり方、藤前干潟や守る会と地域住民の関係などに焦点を当てて、調査しました。 調査結果のひとつとして、藤前地区の地縁共同体が有していた様々な資源や道具が、過去の干潟保全活動を支える基盤となっていたことがわかりました。しかし、藤前干潟周辺の人口は減少し、地域のつながりが先細りしている現状があります。守る会は、ガタレンジャーJr.やユース活動など、次世代育成の取り組みを積極的に行っており、藤前地区以外の人々が藤前干潟の維持や管理、環境教育にいかにコミットしていくかが今後ますます重要となります。さらに、名古屋市がラムサール条約湿地自治体認証制度に基づいて認証された今、湿地の保全をめぐる教育活動の重要性も高まっていると言えるでしょう。 |
活動の時期 | 2024年4月から2025年4月まで |
担当教員 | 馬渡玲欧(人文社会学部現代社会学科講師/SDGsセンター員) |
関連URL | 澳门皇冠_皇冠国际-体育*比分人文社会学部現代社会学科 東海社会学会社会調査インターカレッジ発表会 |
2024年度社会調査実習報告書(馬渡班)表紙